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生きてこそ(天庭)~特別版~の歌詞も兼

―前編―


千変し 万化し 枯れてなお
ちぎれちぎれもたかだかと
その川聊かの瑕瑾なく
すりすりと擦れ合ふ
すりすり すりすり
枯れてなお 枯れてなお

この川の どこへ行く
いづくより 生れて いづこ

ねんねこに沈み 弾け飛び ぴゅっぴゅ

ぴゅっぴゅ ぴゅっぴゅ

蝉のような鼻をしたおかあさん
「このひとでなし!」

蝉のような口をしたおじいさん
「あいや おかしな なあ」

ぷんぷん! ぷんぷん!

蝉のような耳をしたおばあさん
「わあ ちんちくりん」

ぷんぷんぷん!

蝉のような顔をしたおとうさん(代表者でもある)
「あいや みにくいもの におう におうぞ」

遮るもの無き名月 はんなり
立派なおべべに赤帯垂らして
恥じらうことなく山から川へと
ころころ 転んで
みんみんの声 届けてくれたのさ

ぴょんぴょん跳んではそうぞうしい(後ろ前である!)が
ぴんとひらめいた かしこい彼は言う

「大きな声ではいえないけれど
小さな声では聞こえませんの!」

それを聞いていた 彼の歩幅にあわせて
ぴょんぴょんと跳びまわる かわいらしい生き物たち
「わっはっは! あっはっは!
なんとも機知に富んだ 物言いであることか!」

ここには数多の
動物のような姿をしたものたちがいるようだ

うさぎのような長い耳を持つ ひと がいる
かめのような固い甲羅を持つ ひと がいる
たぬきのような挙動を見せる
抜き差しならない ひと もいるし
きつねのような 実に妖艶な ひと もいる
大きな 象のような
ついぞない鼻をもった ひと までもがここにいるのだ
なんともはや! すばらしい!

皆一様に跳ねまわっている
実にほほえましい光景だ!

その素敵な会合を 木の上より俯瞰する
蝉のような鼻をしたおかあさん
「あのひとでない!」

その素敵な会合を 木の上より俯瞰する
蝉のような口をしたおじいさん
「あいや 不潔な なあ」

ぷんぷん! ぷんぷん!

その素敵な会合を 木の上より俯瞰する
蝉のような耳をしたおばあさん
「うそつきぼうや!」

ぷんぷんぷん!

その素敵な会合を 木の上より俯瞰する
蝉のような顔をしたおとうさん(代表者でもあるのだ)
「あいや あな おそろしや」

こうして毎日
呼吸も忘れて身とも影ともつかずが重畳
そこから わんさと 子を積む 山車出て
厳粛に おごそかに 真っ赤な橋脚 垂直に

のぼる!!

赤色の肌をちらりとみせる 立派な髭をもつ聖人
「いいかい諸君よ わたしは高きを恐れず進み
汚いものを無くそうと思うのだが

どうか!」

小さなつぶねたち
「おーー!」

自身の立派な象徴を直視しながら
蜃気楼のような背中を震わせる聖人
「う う ううーん!」

どうやら彼はもう一声ほしいようである

「ど ど どど どどど どどどど

どうか!!」

大きなつぶねたち
「おおーーーー!!!」

彼らの賛同に 聖人様はひどくご満悦なようで
仰向けになりながら
お天道さまに向けて黄ばんだ液体を吐き
こう叫んでいる

「おい貴様ら!
無価値で無様で滑稽な蝉どもめが!
見ているか!
やったぞやったぞうやったのだ!
とうとうは私はやったのだー!」

彼の顔面は 自身で吐いた
黄ばんだお勤めに覆われている
彼はどうやら ついにやり遂げたらしい

おめでとう!

おめでとう!
赤い肌を見せる名も無き聖人よ!
貴殿はとうとうやったのだ!

私のような下々の者には
到底理解できない類の偉業であるが
彼はおそらく何かをやりとげたのであろう

おめでとう!


玉の緒溜まり 鳴き響もす

ころり ころり ころころ ころり

何か 鉄をこすりあわせた音のような
不愉快な音が聞こえる

前から後ろから聞こえる

天と地の和解の証なのだろう
そう思いたい

精一杯だ 皆一生懸命だ

誰が為に 誰の為に

ここは何処だ
お前は誰だ
お前はどこに立っている

件のおかあさん
「うーん」

件のおじいさん
「ううーん」

件のおばあさん
「うーんうーん」

件のおとうさん(かつて代表者であった)
「ううーん ううーん ううーん」

苦しんでいる
何故かは分からないが
(本当は知っているのだが 教えることは出来ない)
苦しんでいる

辿るもの無き少年 ころころ
立派なおべべに赤帯垂らして
恥じらうことなく 袖から袖へと
ころころ ころころ ころころ ころころ
ころころ ころころ ころころ ころころ
ころころ ころころ ころころ ころころ

後ろ前だが かしこい聖人が言う
「大きな声ではいえないけれど
小さな声では聞こえませんな!」


「わははは! ちがいないちがいない!
君は実に趣き深いなあ!」

くらがりの中で蠢くひかりをあつめて
こぼれて あつめて

子を棄つる藪は在れど 身を捨つる藪は無し


―そうこうしているうちにも―


月蝕は刻々とすすんでいる
夜蝉が鳴いている
死にたくはなしと鳴き叫んでいる

屍には落葉が積もり
川となり 海となる
すべては千変し 万化し
その輪郭をぼかしながら
天高く透く一片の雲に過ぎず

呪われた 鬼の子供と呼ばれ
篝火の影絵をなりて
唾を吐かれて 泥をなげられて
それでも
諸手かざして
蒼天の縷々を綴る

望まれずに生まれて
愛を知らず枯れていく
ああ 愛を
誰か彼に愛を

いろいろなものに接吻をしながら
赤い背中をした彼は言う
「言われていたのだ! 言われていたのだ! 言われて!
彼は呪われた子であり!
全くもって である!

実際

彼に価値はない!
彼には何の価値はない!
彼の存在を喜ぶ者もいない!
彼は圧倒的にひとりだ!
彼の周りには誰もいない!
彼にはまるで希望がない!
微塵の可能性もない!

そうだ彼は無意味だ!

無意味で無価値で無様で滑稽だ!

絶望的だ!

本当にわらえるだろう!
おわらいぐさだ おわらいぐさ!
わらえるぞ あいつを見てみろ
みんな! 見ろ! みんな! あやつを見てみろ!
わらえるぞ わっはっは ああ わらえる
わらえるわらえるわらえてしかたがない」

誰のことを指しているのだろうか
皆 首を三百六十度 こてこてと傾けてはみるものの
ちいとも想像がつかない
とにかく騒ぎに便乗することにしたようだ

うしろまえの動物たち
「しかたないしかたない! しかたがない!」

皆嬉しそうだ

「そうだろう!」

全身が焼けただれた男
「どうだ! それが私だ!」

真実を知り ひどく驚いた役者たち
「ぎゃあ! ぎゃふん! ぴゅっぴゅ!」

皆の口からは大量の
琥珀色の火虫が吹き出している
のたうちまわっている
喉を掻きむしっている
顔の大部分は凍りつき 崩れ落ち 剥がれ落ち
背中は炎に包まれている

かなしいことだ

もう誰も救われない

おめでとう! おめでとう彼のひと!
してやったり! だ!

的然として日の下
目を開く ひと
しんがりで吊る ひと
正覚とすがる ひと

我執に喰われ 枯れていく 其のひと

そうだ
これこそが真実だ
そうだ まさに真理

気がつくと誰も居ない
何者もいない
あれほどの騒ぎが嘘のようだ

ただ
夜空の中心で凍りつく
透明な川の 純朴なせせらぎだけが聞こえる

全ては夢だった
全て夢の中の出来事

ほんとうに かなしいことだ

千変し 万化し 枯れてなお
ちぎれちぎれもたかだかと
その川聊かの瑕瑾なく
すりすりと擦れ合ふ
すりすり すりすり
枯れてなお 枯れてなお
枯れてもなお

そこに何の意味があろうか

私にはわからない
誰にもわからない
もうここには誰もいない

            天の庭 樹のひと曰く



―後編 本編―


おぼろげに朧の橋を渡っていると
宙を呼ぶ声が聞こえる

愛戒めさんと数多の落葉たちの

「宿報である」と言う叫びだ

その声は次第に験仏の代弁として
眼下 月光あまねし大河を ひた流れる現未と結び
灼熱の虹へと姿を変えていく

「いずくより ああ 生れて いずこ」


―天の庭へ―


天つ日の不請の清く
彼のひとの間をすり抜ける
あまりにも まぶしすぎて 
誰も 気がつくことは無い

かなしいことだ
ほんとうに
おそろしいことだ
ほんとうに

暗澹たる中天を跨ぐ灼熱の梯子に
群がる落葉たちが口々に叫んでいる

「枯れ    し! 朽ち    し!」

呪われた鬼の子供は澱み
日輪の大つぶに揺れながら
流れ木の鎖りをれかへる
塞きる六識の縷々と綴り


今日も生きてこそ
明日も生きてこそ
枯れてなお
影の地につきささる
灼熱のたばしり朽ちてなお

それでも
生きてこそ

生きてこそ
なにくそ こなくそ
生きてこそ
それでこそ

今日もまた 生きてこそ
一秒先を生きてこそ
二秒先を生きてこそ
三秒先を生きてこそ
今日も明日も明後日も来週も来月も来年も
生きてこそ

「そうだ そうだ!
俺はお前を愛してやるぞ!
俺だけはお前を愛してやるぞ!」


          天の庭にて 赤い背中の男曰く
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Author:らす
歌詞記事は仮記事と書いているのは
にこ動見ながら聞き取ったやつなので間違っていると思います
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